当院について
当院の特徴
整形外科は、四肢と脊椎、骨盤の骨、関節や、それを動かす筋、腱、神経や血管など運動器と言われる組織を扱う分野ですが、当院は日本初の「手の外科、手外科」に特化した専門病院です。特に、ヒトが高度に発達させ複雑な動きをする手指とそれを支える上肢全体を診療対象にしています。
6名の手外科専門医を中心に、関節鏡視下手術や手術用顕微鏡下に神経、血管を縫うマイクロサージャリーなど進んだ技術を用いて、手の機能回復も行っています。
当院で扱う主な疾患
(ここでは当院で手術の件数が多いものを上げました)
外 傷
- 鎖骨、肩関節、上腕骨から指の骨関節までに至る上肢の骨折や関節脱臼
(肩関節の腱板損傷や反復性脱臼は肩関節専門の医師を紹介します) - 皮膚欠損を伴う手や上肢の挫滅創(機械に巻き込まれた)
- 腱の断裂(指を切った後、指が曲らない、伸びない)
- 関節周囲の靭帯の断裂(怪我した関節の腫れや痛み、不安定感など)
- 指や手、上肢各レベルでの切断
- 腕神経叢損傷や末梢神経損傷(手指のしびれや運動麻痺)
- 外傷後の関節拘縮や腱癒着(手指の動きが悪い)
末梢神経圧迫障害(絞扼性末梢神経障害)(手のしびれや指の筋力低下)
- 手根管症候群、肘部管症候群など
(頸椎部での脊髄や神経根の圧迫でも似た症状が出ますので、こちらでの検査の結果、頸椎部の病変が疑われた場合は脊椎外科の専門医を紹介します)
- 手根管症候群
- 屈筋腱9本と正中神経が通っている、手首の骨と靭帯で作られた強固なトンネル(手根管)内で屈筋腱周辺の組織(滑膜)の量が増えると断面が狭くなり、 正中神経が圧迫を受けて障害される。
変形性関節症
- 母指CM関節症、ヘバーデン結節、ブシャー結節、変形性遠位等尺関節症、変形性肘関節症など
- 母指CM関節症
- 母指の付け根の関節(母指CM関節)の軟骨がすりへり、骨のとびだし(骨棘)ができ、関節の形が徐々に変わると痛みや腫れが出る。進行すると母指がジグザグに変形する。
指屈筋腱腱鞘炎(ばね指)、ドゥケルバン腱鞘炎
関節炎(痛風、偽痛風、リウマチなど)
上腕骨外側上顆炎(テニス肘)など
キーンベック病(月状骨無腐性壊死)など
スポーツ障害
- 野球肘
上腕骨小頭離断性骨軟骨炎(外側型野球肘)、内側上顆疲労骨折・内側側副靭帯損傷(内側型野球肘)
- 外側型野球肘
- 上腕骨小頭で骨の一部への血流が悪くなり壊死してしまう。病状が進むと骨に亀裂が入り、骨片が動き、さらには骨片がはずれて肘関節内で遊離体となり、肘の外側を中心に痛みが出る。放置すると肘の変形性関節症へ進む。
- 内側型野球肘
- スポーツで肘を使いすぎ、靭帯が常にひっぱられることで、小児期に骨が成長する弱い部分が骨折する。肘の内側に痛みが出る。
- 三角繊維軟骨複合体損傷(TFCC損傷)など
腫 瘍
- ガングリオン、滑膜性巨細胞腫、グロムス腫瘍、神経鞘腫、血管腫、内軟骨腫、外骨腫など
先天異常
- 合指症、母指多指症など
化 膿
- 細菌感染による化膿性腱鞘炎や関節炎、骨髄炎、皮下の蜂窩織炎など
その他
- デュピュイトラン拘縮など
- デュピュイトラン拘縮
- 主に環指、小指の列に発症。
手のひらから指にかけてつっぱり、徐々に指が伸びにくくなる。
年間手術件数
期間 | 件数 |
---|---|
2012年(7/1~12/31) | 1,390 |
2013年(1/1~12/31) | 3,032 |
2014年(1/1~12/31) | 2,930 |
2015年(1/1~12/31) | 2,948 |
2016年(1/1~12/31) | 2,963 |
2017年(1/1~12/31) | 2,906 |
2018年(1/1~12/31) | 2,899 |
2019年(1/1~12/31) | 2,793 |
2020年(1/1~12/31) | 2,602 |
2021年(1/1~12/31) | 2,861 |
2022年(1/1~12/31) | 2,672 |
2023年(1/1~12/31) | 2,738 |
件数 | |
---|---|
切断 | 128 |
軟部組織損傷 | 53 |
屈筋腱断裂 | 27 |
伸筋腱断裂 | 93 |
靱帯損傷 | 72 |
TFCC損傷 | 44 |
腱鞘炎 | 319 |
拘縮 | 45 |
骨折 | 767 |
脱臼 | 51 |
脱臼骨折 | 29 |
神経・血管損傷、神経断裂 | 67 |
手根管症候群 | 371 |
肘部管症候群 | 81 |
腫瘍 | 241 |
咬創 | 16 |
母指CM関節症 | 43 |
遠位橈尺関節変形性関節症 | 26 |
キーンベック病 | 8 |
その他 | 82 |
小児 先天異常 | 6 |
小児 強剛母指 | 2 |
小児 野球肘 上腕骨小頭離断性骨軟骨炎 | 1 |
小児 上腕骨顆上骨折 | 22 |
小児 外側顆骨折・外顆骨折 | 10 |
小児 内側上顆骨折 | 6 |
小児 モンテジア脱臼骨折 | 6 |
小児 外傷・その他 | 122 |
沿革
なぜ「新潟の手の外科」なのか
手の外科(現在は診療科名を手外科と改めています)は、第2次大戦中に米国を中心に体系づけられた、比較的新しい外科分野です。 戦後1950年代始めに米国に留学した私たちの師である田島達也先生は、その素晴らしさに感動し、新潟大学整形外科に帰学した後1955年頃から手の外科診療を始め、同時に若手の整形外科医を教育しました。 田島先生は新潟にとどまらず国内各地から研修生を受け入れ、また「新潟手の外科セミナー」を始めるなど、日本の手の外科の発展に寄与しました。 大学退官後は当研究所の理事長となり、手の外科の普及に努めました。田島先生亡き後も、当研究所では全国の若い手外科医の教育を続けています。
- 1985年9月
- 「財団法人新潟手の外科研究所」として教育、研究を目的に新潟県から公益法人の認可を受けた。
- 1986年1月
- 事業を開始。診療は新潟中央病院内で行った。
- 2012年4月1日
- 「一般財団法人新潟手の外科研究所」に体制を変更。
- 2012年6月
- 北蒲原郡聖籠町に50床の手外科専門病院である「新潟手の外科研究所病院」を独自に設立・運営。
- 2012年7月2日
- 新潟手の外科研究所病院の診療を開始。